
キュービクルの耐用年数とは?
構成機器と更新時期を解説
キュービクルは、 多くの工場や商業施設、ビルなどで使われている重要な電力設備です。電力を安定して供給するために欠かせない存在ですが、機器である以上、長い間使用していると劣化し、安全性や効率に影響を及ぼすことがあります。そのため、キュービクルの耐用年数を正しく理解し、適切なタイミングで更新を行うことが求められます。
このコラムでは、キュービクルの耐用年数を理解するための基本情報や、構成機器ごとの寿命について解説していきます。
【目次】
1. キュービクルの耐用年数
耐用年数を考える際にはまず、「法定耐用年数」と「実用耐用年数」の違いを知ることが重要です。
法定耐用年数は税務上の基準として設定されたもの、実用耐用年数は性能や状態を鑑みて実際に使える期間を示したものという違いがあります。
法定耐用年数 | 「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によって国が定めている固定資産を使える税制上の期間 |
---|
実用耐用年数 | 法律で定められたものではなく、性能や状態を見て何年使えるのかを算出した期間 |
---|
キュービクルの法定耐用年数は、どのような用途でキュービクルが使用されるのかによって変わってきますが、基本的には15年とされています。
それに対し、実用耐用年数は法律による定めはなく、設備そのものの性能や状態から実際に何年使えるのかを示した期間のため、法定耐用年数よりも実用耐用年数の方が実情に近い耐用年数といえます。
2. キュービクルの構成機器と耐用年数の関係
キュービクル単体の法定耐用年数は基本的に15年ですが、キュービクルを構成する中身の機器にもそれぞれ耐用年数があります。日本電機工業会が公表している実用耐用年数を以下の表にまとめました。
機種 | 実用耐用年数 |
---|---|
|
20年 |
|
15年 |
|
屋内用:15年 屋外用:10年 |
上記の表を見ていただくとわかるように、機器ごとに耐用年数は異なります。これはあくまで目安のため、キュービクルを設置した周辺環境やメンテナンス状況によって、実際の寿命は変わる可能性があります。
たとえば、屋外に設置されたキュービクルは、雨風や温度変化などの影響を受けやすいため、劣化が早まる傾向があります。一方で、適切に保護された環境で使用され、定期的なメンテナンスが行われている場合には、耐用年数を超えて使用できることも少なくありません。
そのため、耐用年数の考え方は一律ではなく、それぞれの設備や環境に応じた対応が必要です。
3. キュービクルが故障した場合
ここまで、キュービクルの耐用年数についてお話してきました。電力供給の要であるキュービクルが故障すると、新しいものを設置するまでに最低でも3ヵ月はかかります。そのため、電気が長期間使えなくなり、操業停止や発電機を用意するなどの応急対応が必要になってしまいます。


また、停電事故が起こってしまった場合、近隣にも停電が広がる波及事故につながる恐れもあります。キュービクルで漏電などの電気事故が発生した際、周辺地域に停電が波及することを防ぐためにPAS(気中負荷開閉器)が設置されていますが、PAS自体にも耐用年数が存在します。万が一事故が起こってもPASがあれば周辺を巻き込む大事故には至らないだろうと安心していても、肝心のPASが故障していて波及事故につながってしまったケースもあります。もしも波及事故の影響が周辺施設や交通システムにも及んでしまったら、多額の賠償金を払う事態になるかもしれません。
キュービクルの故障や電気事故を未然に防ぐために、定期点検をしっかり行いましょう。
4. 安全にキュービクルを運用するために必要な保安点検
できるだけ長く安全にキュービクルを稼働させるためには、定期点検が必要不可欠です。実際に、キュービクルなどの需要設備における事故原因の半分以上が、保守が不十分だったことで起こっています。


電気事業法では、キュービクルの安全を守るための保安管理は、その使用者が責任を負うべきものとされており、電気主任技術者を選任し、定期的な保安点検を行うことが義務付けられています。キュービクルの安全性を保つため、毎月もしくは隔月に1回行う月次点検と毎年行う年次点検、2つの法令点検の実施が必要です。
月次点検と年次点検の概要をまとめましたので、以下ご参照ください。
実施頻度 | 点検項目 | |
---|---|---|
月次点検 |
月に1回 または 隔月* *絶縁監視装置がキュービクル内に設置されている場合は隔月点検可能 |
など |
年次点検 | 年に1回 |
安全のために敷地内を停電状態にしたうえで 電気設備の精密な点検を行う
など |
● 保安点検を行う電気主任技術者とは?
電気主任技術者とは、キュービクルの工事や維持、運用に関する保安監督者です。キュービクルを設置する場合、必ず電気主任技術者を選任し、産業保安監督部長に届け出なければいけません。もし、自社に電気主任技術者が在籍していない場合や雇用が難しい場合には、外部委託承認制度を利用して外部の電気主任技術者や電気保安法人へキュービクルの保安管理業務を委託することも可能です。
現在は、キュービクルを設置している企業の大多数が保安管理業務を外部委託しています。主な外部委託先としては以下3つが挙げられます。
電気保安協会
全国に10カ所あり、合計350拠点以上を構える一般財団法人
管理技術者協会
個人事業主の電気管理技術者が登録している組織団体
電気保安法人
外部委託を受けて保安管理業務を行うことを認められた民間団体
保安点検を怠ると、機器の不調を見逃し、思わぬ故障や事故を招く恐れがあります。キュービクルを安全に使用するため、適切な点検と保守を行いましょう。
5. キュービクルの更新・入れ替えのポイント
キュービクルの実用耐用年数は15年~20年ですが、単に耐用年数だけを見て更新時期を判断するのは危険です。月次点検や年次点検などを通して機器の劣化状況を確認・把握し、総合的に判断する必要があります。定期点検で部品に不具合が見つかったり、機器に劣化が見られたりする場合は、耐用年数に達していなくても安全性を向上させるために早めにキュービクルを更新しましょう。
もしも、すでに実用耐用年数を超えたキュービクルを使いつづけている場合には、安全性だけではなく以下のようなPCB廃棄物の問題も絡んでくるため、早急に新しいものに入れ替えすることをおすすめします。


「PCB特別措置法」の施行により、2027年3月31日の処分期限までにPCB廃棄物が含まれているキュービクルを廃棄しなかった場合、廃棄ができなくなり、ずっと保管しつづけなくてはいけなくなります。設置から30年以上経過している古いキュービクルは、変圧器やコンデンサーにPCB廃棄物が含まれている可能性があるため、今のうちに新しいものへ入れ替えておきましょう。
6. キュービクルの入れ替えはネクシーズZEROにおまかせ!
箱型キュービクルの登場からおおよそ20年経ち、これから耐用年数を超えたキュービクルが増えてくることが予想されます。キュービクルは使用用途や設置場所に合わせた設備設計が必要になり特注となるため、どうしても製品代は高額になります。また、設置工事費もキュービクル本体同様に高額なため、仮にリースでキュービクルを導入したとしても工事費がかかる分、初期費用は高くなります。
「ネクシーズZERO」は、初期投資0円、製品代・設置工事費などのすべての料金が含まれている月額サービス料のお支払いのみで設備の導入ができるため、キュービクルの導入がしやすくなっています。




北海道から沖縄まで、日本全国で無料の現地調査を承っていますので、もし古くなったキュービクルの更新費用にお悩みでしたら、お気軽にネクシーズへお問い合わせください!