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キュービクル(高圧受電設備)の基礎知識
キュービクル

キュービクル(高圧受電設備)の基礎知識

投稿: 2024年9月25日 最終更新: 2024年10月15日

ビルの屋上や建物の隅、工場の敷地内などで「変電設備」と記載された大きな金属の箱が置かれているのを見たことはありませんか?この大きな金属製の箱は「キュービクル」といい、一定規模以上の電気を使用する建物や設備で設置が義務付けられているものです。今回はこのキュービクルについてお話しします。

1. キュービクルとは

キュービクルは、電力会社から高圧で電気を受電するための機器一式を金属製の箱に収めたものを指します。正式名称を「キュービクル式高圧受電設備」といい、JIS規格では「キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620)」として定められています。
キュービクル(Cubicle)という名称は、「立方体」という意味のキューブ(Cube)から派生したもので、「小屋」「箱」「小さく区切った空間」という意味もあります。

キュービクルとは

キュービクル自体は灰色かクリーム色の箱型をしていて、建物の屋上や敷地内に設置されていることが多いです。 商業施設やオフィスビル、工場や病院などのたくさんの電気を必要とする事業所の場合は、電柱の変圧設備を通らずに直接高圧の電気が送られるため、高圧のまま送られてくる電気を受け入れ、施設内で使える低圧の電気に下げる役割を果たすキュービクルの設置が必要になります。そのため、基本的にキュービクルは、高圧受電契約をしていない建物には設置する必要がありません。

2. 電力の契約方式とキュービクルの仕組み

電気を利用する際に電力会社と結ぶ契約には「高圧受電契約」と「低圧受電契約」があります。 どちらの契約を結ぶかは、実際に使用する電力量によって目安が変わります。 使用電力が50kW以上なら高圧受電契約、一般家庭や小規模な建物などで50kW以下なら低圧受電契約がそれぞれの目安です。

低圧 受電契約 高圧 受電契約
契約電力(目安) ~50kW 50kW~
主な需要家 住宅、店舗 中小規模の工場やビルなど

発電所でつくられた電気は数十万ボルトと超高圧な電気のため、そのままでは使用することができません。まずは超高圧のまま変電所へ送られ、変電所では発電所から送られてきた電気を数万~数千ボルトの電力まで下げてから、電柱や送電線に電気を送り出します。
一般家庭の場合は、電柱に取り付けられた変圧設備(柱上トランス)で100V~200Vの低圧電力に下げられた電気が供給されます。 各家庭に供給された電気は、分電盤と呼ばれる箱の中にあるブレーカーで調整され、電気の使い過ぎや漏電時に自動で遮断するようになっていますが、50kW以上の電力を使用する事業者の場合、柱上トランスだけでは変圧できる容量が足りません。そのため、変電所から直接高圧の電気が供給される高圧受電契約を結ぶ必要があります。

キュービクルとは キュービクルとは

キュービクルは、柱上トランスと同じように高圧電力を変圧し、建物内に電気を配電する役割をしています。さらに一般家庭のブレーカーと同じように、万が一建物の電気設備に不具合が生じてショートや漏電などが発生した場合には、他の設備や建物にまで影響が及ばないよう素早く電気の供給を遮断する保護動作も担っています。キュービクルの中には、変圧器や配電設備をはじめ、保護動作に必要な遮断器や保護継電器、電気の使用状況を監視する計測装置や制御装置など、高圧電力を事業所で使用するために必要な機器がコンパクトに格納されています。

3. 高圧受変電設備とキュービクルの違い

ここまで高圧電力の使用にかかせない電気設備としてキュービクルを紹介しましたが、高圧受変電設備自体は「開放型(解放式)」「閉鎖型(キュービクル式)」の2つに分類されます。キュービクルは必要な電気設備をすべて金属製の箱の中に収めるように設計されているため、閉鎖型の高圧受変電設備に該当します。
一方で開放型の高圧受変電設備は、金属フレーム(鉄パイプ製)を組んだ中に解放状態で電気機器が設置された設備を指します。昔は目視点検のしやすさや増設のしやすさから開放型が主流でしたが、近年では設置環境に左右されにくく、低コストで安全性の高いキュービクル式が主流となっています。
以上のことから、「キュービクル=高圧受変電設備」という認識も間違いではありませんが、あくまでもキュービクルは高圧受変電設備のなかの一つに過ぎないため、呼び方や認識には少々注意が必要です。

高圧受変電設備とキュービクルの違い 高圧受変電設備とキュービクルの違い

4. キュービクルを設置するメリット

大量の電力を必要とする施設に欠かせない高圧受変電設備ですが、最近では大規模マンションでもキュービクルの設置が進められています。 キュービクルの導入には、次のようなメリットがあります。

● 電気料金を安く抑えられる

キュービクルを設置した場合、電力会社の柱上トランスを通さずに自社で電気を管理することになります。 そのため、高圧電力は低圧電力よりも電気料金単価が割安に設定されており、電気料金を安く抑えることができます。 最近では電気代を下げるために、既存のマンションにキュービクルを追加で設置し、低圧受電契約から高圧受電契約に切り替えるケースも出てきています。

● コンパクトで設置に必要な面積や場所の制約が少ない

キュービクルはすべての機器が箱の中に収納されているため、設置に必要な面積が少なくて済み、建物の隅や駐車場の一角、屋上などいろいろな場所に設置できます。 必要な機能が一カ所にまとまっていることで現場の取り付け工事も比較的簡単で、定期的な保守点検作業もしやすいことから、メンテナンス性に優れているともいえます。

5. キュービクルといえばネクシーズ

キュービクルは建物の用途や設置場所に合わせた設備設計が必要になり特注となるため、どうしても製品代が高額になります。さらに設置工事費も同じくらい高額になるので、キュービクル本体だけをリースで導入する場合でも、工事費のお支払いがあるので初期費用が高くつきます。
設備導入支援サービス「ネクシーズZERO」なら初期投資0円、製品代・設置工事費などすべての料金が含まれた月額サービス料のお支払いのみのため、キュービクルの導入がしやすくなっています。

キュービクルといえばネクシーズ キュービクルといえばネクシーズ
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現在、地域によってキュービクルの設置工事の値段は大きく異なります。 工事代が安いエリアもあれば、とても高いエリアもあります。 ネクシーズとしては、全国の工事業者を開拓していき、価格競争を活発化させ、少しでも工事料金を安くできるように努めていきます。
箱型キュービクルの登場からおおよそ20年経ち、これから耐用年数を超えたキュービクルが増えてくることが予想されます。 古くなったキュービクルを入れ替え、新しいキュービクルを増やしていけるよう尽力していきます!

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